頭皮に10円玉大の円形の脱毛が起こる円形脱毛症。その原因は男性型脱毛症とは違い、免疫システムの誤作動によって起こります。今回は、円形脱毛症はなぜ起こるのかについてお話しましょう。

円形脱毛症はただの薄毛とは違う!?

円形脱毛症が起こるメカニズムは、最近話題の男性の薄毛のそれとは全く異なります。

男性の薄毛、いわゆる男性型脱毛症(AGA)では、悪玉男性ホルモンDHTが頭皮に影響することで、毛髪の成長サイクルを途中で止めたり、毛穴の皮脂の分泌が増やしたりするために薄毛に至る、という流れでした。

しかし、円形脱毛症は、男性ホルモンや皮脂といった、一般的に薄毛の原因とされるものとは、直接的には関係がありません。

それは、円形脱毛症が、自己免疫疾患と呼ばれる疾患であるからです。

免疫システムが毛根を攻撃する

「自己免疫疾患」とは、免疫システムが誤作動を起こして、自分自身の体を攻撃するようになってしまう病気です。

本来、私たちの免疫システムは、外からやってきた細菌や異物だけを攻撃し、自分自身に対しては攻撃をしかけないようにできています。しかし、何らかのきっかけで、免疫システムが誤作動を起こし、攻撃してはいけないはずの自分自身の体に、刃を向けるようになることがあります。

この時、攻撃される場所によって、体にはさまざまな異常が出てきます。全身の関節が攻撃を受けて炎症を起こす関節リウマチ、すい臓の一部が攻撃を受けて起こる1型糖尿病、おもに大腸の粘膜が攻撃を受ける潰瘍性大腸炎、甲状腺が攻撃を受けて炎症を起こす橋本病(慢性甲状腺炎)などは、どれも自己免疫疾患に含まれます。

そして、免疫システムが、頭皮の毛穴の毛根部分を攻撃することで起こると、その部分の毛髪が円形に抜け落ちてしまいます。これが円形脱毛症なのです。

原因や治療法は分かっていない部分が多い

円形脱毛症では、免疫システムによって毛根部分が攻撃を受けるため、その部分の髪が抜けてしまいます。しかし、髪の素になる細胞(幹細胞)は攻撃されずに生きているため、免疫システムの誤作動が収まれば、再び髪が生えてくるのです。

なぜ、免疫システムがこのような誤作動を起こすのかは、いまだはっきりと分かっていませんが、喘息(ぜんそく)やアレルギー、精神的ストレスが関連していると考えられています。「円形脱毛症はストレスで起こる」という噂をよく耳にするのはこのためです。

さらに、円形脱毛症は、根本的な治療法が確立されていません。対症療法として免疫システムの働きを抑える薬(ステロイド剤や免疫抑制剤)が使われることもあります。

しかしながら、最近になって、円形脱毛症に関係する遺伝子や、発症の仕組みが、少しずつ解明されてきています。近い将来、円形脱毛症を根本的に治療する薬が登場するかもしれませんね。

いかがでしたか。男性型脱毛症とは全く異なるメカニズムの円形脱毛症。いつの日か治療薬が開発されて、円形脱毛症に苦しむ人がいなくなることを切に願います。