投薬や植毛以外の脱毛解決法には、カツラや部分カツラを着ける方法もあります。念のため説明を加えると、カツラとは頭部全体に着用するもので、部分カツラとは髪の毛が薄くなったり失われた部分に着けるものです。

若くして男性型脱毛症が深刻な状態まで進行したり、円形脱毛症の患者さんで重い症状のある方、また外傷で髪の毛を失ったり、抗がん剤の副作用で脱毛した方など、カツラは多くの方に利用されています。着用後は精神的な安定を得る方が多いことも報告され、QOL向上の意味で大変役に立っているようです。

カツラの歴史

カツラの歴史を見てみると、思った以上に古くから活用されていたことがわかりました。16~17世紀頃からヨーロッパで身分の高い人々が活用していましたが、実は古代オリエント人やエジプト人もカツラを使っていました。カツラを着けたミイラが多数発掘されたことで分かったのです。

1950年代にはヘアピース(部分カツラ)が流行し、60年代半ばからは男女ともにファッションとして広く利用されるようになりました。

「医療用」に開発され始めたのは、やはり1960年頃からでした。と言っても、一般のカツラと医療用のカツラにはっきりとした区分があるわけではありません。ただ、現在では抗がん剤治療などでもQOLが重視されるようになり、カツラ利用者が増大したため、医療用カツラ専門の業者も生まれています。

カツラそのもののクオリティも、当然ながら昔より格段にあがってきました。もっとも進んだのは、生え際の処理です。以前のカツラでは、生え際を自然に見せることがむずかしかったのですが、化学樹脂による人工皮膚の開発でこの問題も解消されました。人工皮膚は、頭部の皮膚に接着させると色が同化し、自然な生え際になるのです。
カツラ用の毛髪は人の毛を使用するのは一般的ですが、最近は人毛を上回るような優れた人工毛髪(バイタルヘアなど)も開発されています。頭部に残っている自毛となるべく近い色や太さのものを選ぶなど、「不自然さをなくす」ためにさまざまな工夫ができるようになりました。