がん細胞をやっつけるための薬である抗がん剤。一部の抗がん剤では、副作用で髪の毛が抜けるということが起こりますが、これはなぜなのでしょうか。今回は、抗がん剤で髪の毛が抜ける理由について解説します。

がん細胞をやっつける抗がん剤

その前に少し、抗がん剤とがん細胞についてお話させてください。

がん細胞は、もともと私たちの一部だったはずの細胞が、何らかの原因でストッパーがはずれて、際限なく増殖できるようになってしまった細胞です。増殖を自分で止めることができないため、体の中でどんどん育ってしまい大きな塊をつくってしまいます。この塊が腫瘍(しゅよう)、いわゆる”がん”と呼ばれるものです。

このようながん細胞を攻撃して、増殖を止めるために使う薬が”抗がん剤”です。抗がん剤は、活発に増殖する細胞を殺す働きがあるため、がん細胞をやっつけるのに効果を発揮します。

しかし、この抗がん剤、実は致命的な欠点を抱えた薬なのです。

正常な細胞も攻撃の対象になる

抗がん剤には、活発に増殖する細胞を殺す働きがある、とお話しました。実はこの働き、残念なことに、がん細胞と正常な細胞を区別してくれません。つまり、何の問題もない正常な細胞であっても、活発に増殖しているタイプの細胞であれば、抗がん剤の攻撃の対象になってしまうのです。

これが抗がん剤による副作用の原因となります。

普段から活発に増殖している細胞には、赤血球や白血球を造り出す骨髄の細胞(造血幹細胞)、胃や腸の粘膜の細胞(粘膜上位細胞)、皮膚や爪のもとになる細胞などがあり、髪の毛のもとになる毛根の細胞(毛母細胞)もここに含まれます。このため、抗がん剤による攻撃を受けてしまい、副作用として髪の毛が抜けてしまうのです。

頭皮のケアは怠るべからず

髪の毛が抜けている間も、頭皮のケアを怠らないことが大切です。

髪の毛が抜け始める時期には個人差があるものの、抗がん剤を始めて大体2~3週間たってから抜け始めます。そして、抗がん剤による治療が終わってから数か月でまた生え始め、半年~1年くらいで元に戻ります。

この間は、頭皮が刺激を受けやすくなります。また、抗がん剤の副作用で、細菌にやられやすかったり、炎症を起こしやすくなっていたりします。それまでと同じようにシャンプーを使って頭を洗い、頭皮を清潔に保つことが大切です。

いかがでしたか。抗がん剤による脱毛は、治療が終わればもとに戻ります。再び髪の毛が生えてきたときのために、頭皮のケアを怠らないようにしましょう。